公務員試験は「年齢の壁」がある?──
43歳・Tさんの転職ストーリーに、その答えがありました。
「年齢的に無理かも…」そんな不安を抱えながらも、思い切って公務員への転職に踏み出したTさん。
前職は民間の接客業、現在は社団法人で経理担当。そこから全く異なる“行政の世界”に挑戦し、見事に第一志望の特別区に合格。
その背景には、徹底的に準備された想定問答と、数々の困難を乗り越えた姿勢がありました。
■ 変われない職場、見えない将来──転職のきっかけは“10年先の不安”
Tさんは小さな組織で、経理業務を上司と二人三脚で担ってきました。
しかし、その上司が定年を迎えるまでは「自分にできる仕事が増えることはない」と気づいた瞬間、キャリアの見直しを意識し始めたそうです。
「あと10年、変化のない日々を繰り返すだけなら…ここを離れる決断をした方がいいと思いました。」
加えて、現在の業務が民間で活かしにくい内容だったことから、視野を広げていたところ、ある行政イベントとの出会いが背中を押しました。
「行政の仕事を肌で感じたことで、“この分野で働いてみたい”という気持ちが一気に高まりました。」
■ 「1行しか書けなかった」──想定問答でぶつかった自分の壁
面接対策の中心となる想定問答作成。Tさんにとって最初の難関でした。
「最初は本当に何も書けなくて…。何度も自分にがっかりしました。」
そんな時に支えになったのが、面接対策動画。
繰り返し再生し、内容を覚えるほど見続け、他の受講生のエピソードから書き方のヒントを得て、自身の職務経験に落とし込んでいったと言います。
「10回以上見た動画もあります。“こういう表現ならできるかも”と、自分の中で形になっていきました。」
■ 圧迫面接でも崩れなかったのは、“書き切った想定問答”があったから

人事院面接は、3人の男性面接官による早口の質問が続き、「圧迫」と感じるほど緊張感のある空気だったそうです。
「答えたと思ったら、すぐに“他には?”と深掘りされる。準備してなかったら、完全に崩れていたと思います。」
それでも、想定問答で何通りもの答えを考えていたおかげで、落ち着いて受け答えできたと話します。
「いくつも視点を用意していたので、“それも話せます”と心の中で思いながら答えられました。」
結果、面接時間は予定より5分超過。
それは「本気で採用を検討していたからこそのやり取りだったのでは」と、後から聞かされて納得したといいます。
■ 行政イベントに参加していた経験が、面接で“強み”に
Tさんはもともと行政主催のイベントに参加していた経験があり、そこでの学びや職員とのやりとりが、面接でも活きました。
「“そのイベントどうでしたか?”って面接官に聞かれて、やっぱり参加しておいて良かったと思いました。」
さらに、区政会館で配布されている計画書類なども読み込んで応募先の特徴を理解。
「やっぱり受験するだけでなく、“実際に関わる準備”としてもリサーチは重要でした。」
■ 最後まで崩れなかった理由──それは“考え抜いた答え”があったから
本番では、想定外の質問も飛んできました。特に、他部署との調整をどう行うかという問いには、即答に詰まったといいます。
「やったことがなかったから、最初は言葉に詰まりました。」
それでも、想定問答を作成する過程で何度も思考を巡らせていたことが、深掘りされた場面でも“考えてきたこと”として言葉を支えてくれました。
「一つの質問に対して複数の視点を持っていたから、ひねり出しても“リアルな答え”になったと思います。」
■ Tさんが伝えたいこと──年齢もキャリアも、“関係ないとは言わない。でも、行動次第で変えられる”
「公務員試験は、本当に平等にチャンスがある試験だと思います。」
「40代でも挑戦できる。でも、それには“自分がやってきた仕事”をどう見つめ直すかがすごく大事です。」
「泣きながら書いた想定問答も、厳しい面接官の圧にも負けなかったのも、全部“自分の言葉”を準備してきたからです。」
「迷っている人がいたら、ぜひ一歩踏み出してほしい。対策を正しく積み重ねれば、ちゃんと道は開けます。」
Tさんの話は、年齢や職歴で悩む多くの受験生に勇気を与えてくれます。
“正解”を覚えるのではなく、自分の経験を言葉にすること──。
それが、試験の突破口になったのです。
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